名歌鑑賞のブログ

心に残る名言、名歌・名句鑑賞

タグ:小説

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夏山や 一足づつに 海見ゆる  
                    一茶

(なつやまや ひとあしずつに うみみゆる)

意味・・うっそうと茂る樹木を分けて、汗まみれ
    で山路を登りつめ、ようやく頂上近くに
    なると、視界が開け、一足ごとに明るい
    夏の海が姿を現してくる。その輝くよう
    な青さと広がりに、息を飲む思いである。

    海に近い小高い山に登った時に詠んだ歌
    です。

作者・・一茶=いっさ。小林一茶。1763~1827。
    長野県 柏原の農民の子。3歳で生母と死
    別、継母と不和のため15歳で奉公生活に
    辛酸をなめた。
 
出典・・笠間書院「俳句の解釈と鑑賞辞典」。

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田や沼や よごれた御世を 改めて 清く澄ませよ
白河の水
                 
(たやぬまや よごれたみよを あらためて きよく
 すませよ しらかわのみず)

意味・・今の政治は田や沼のように汚れてしまった。
    奥州白河藩主の定信さんよ、あなたが早く
    田沼を追放して汚れた政治を白河のように
    清く澄まして欲しい。

    田沼意次(おきつぐ)は士農工商を廃止して
    重商主義をとった。その結果商人の賄賂が
    はびこる世になった。松平定信は当時白河
    藩主であった。


思ひきや わがしきしまの 道ならで うきよのことを
とはるべしとは     
                   藤原為明

(おもいきや わがしきしまの みちならで うきよの
 ことを とわるべしとは)

意味・・思ったであろうか、いや思いもかけなかった
    ことだ。自分が家の職としている和歌の道の
    ことではなく、こんな世俗的なことで尋問さ
    れようとは。

    1331年後醍醐天皇の鎌倉幕府討伐の議に参加
    した嫌疑で拘引された時に詠んだ歌です。
    この歌を見て北条則貞は「感歎肝に銘じけれ
    ば、涙を流して理に伏し」、ために「咎なき
    人」になったという。

 注・・しきしまの道=敷島の道。和歌の道。歌道。
    うきよ=俗世間。

作者・・藤原為明=ふじわらのためあき。1295~1364。
    正二位権中納言。後醍醐天皇の北条氏討伐の議
    に参加した嫌疑で拘引された。

出典・・太平記。

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                  芦

みしま江に つのぐみわたる 芦の根の ひとよのほどに
春めきにけり        
                   曽禰好忠

(みしまえに つのぐみわたる あしのねの ひとよの
 ほどに はるめきにけり)

意味・・見ると三島江一帯に芦が芽を出し始めている。
    まるで芦の根の一節(ひとよ)とでもいうように、
    ほんの一夜のうちに春らしくなったことだ。

 注・・三島江=大阪府高槻市淀川沿いのあたり。
    つのぐむ=角ぐむ。草木の新芽が角のように
    出始める。
    芦の根の=芦の芽が根より出始めた状態。
    ひとよ=「一夜」と「一節」を掛ける。節(よ)
     はふしとふしの間をいう。

作者・・曾禰好忠=そねのよしただ。生没年未詳。985
    年頃に活躍し人。

出典・・ 後拾遺和歌集・42。

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伊勢の海に 釣りする海人の 浮子なれや 心一つを
定めかねつる            
                            詠み人知らず

(いせのうみに つりするあまの うけなれや こころひとつを
 さだめかねつる)

意味・・私は伊勢の海で釣りをする漁師の浮きなのだろうか。
    自分の心一つを、安定させることが出来ないでいる。

    まだ成就しない恋に揺れ動く心を海の浮きに例え、
    喜んだり悲しんだり、自らではどうにもならない焦燥
    感や心細さの心の様子を表わしています。

 注・・伊勢の海=伊勢湾。
    海人=漁師。
    浮子(うけ)=浮きのこと。 

出典・・古今和歌集509。

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