名歌鑑賞のブログ

心に残る名言、名歌・名句鑑賞

カテゴリ: 日記


今ぞ知る 民も願ひや 久方の 空にみづほの
国さかふなり     
                    招月正徹 

(いまぞしる たみもねがいや ひさかたの そらに
 みずほの くにさかふなり)

意味・・今こそ分かった、国民たちの願望も永久に
    満たされるように、日本の国の、いよいよ
    栄えていることが。

    国民の願望が叶えられるところに日本国の
    繁栄があることを詠んでいます。

    民が富むと年貢も増えて国も栄える。年貢
    を取りすぎたり、戦争が多いと民が貧しく
    なり国の繁栄にはならない。

 注・・久かた=「空」の枕詞。永久の願いの意を
     こめる。
    みづほの国=日本国の美称。「みつ」は空
     に「満つ」を掛ける。

作者・・招月正徹=しょうげつしょうてつ。1381~
    1459。招月は雅号。室町中期の歌僧。
 
出典・・正徹詠草(岩波書店「中世和歌集・室町編」) 


せきもあへぬ 涙の川は はやけれど 身のうき草は
流れざりけり     
                  源俊頼

(せきもあえぬ なみだのかわは はやけれど みの
 うきくさは ながれざりけり)

意味・・せき止められない我が涙は川となってたぎ
    り流れているが、浮草のような我が身の憂
    さは、ながれずにそのままでいることよ。

    身分の低い人に官位昇進の遅れをとって、
    嘆いた歌です。いくら泣いても憂さの晴れ
    ないくやしさの気持ちを詠んでいます。
       
 注・・あへぬ=敢へぬ、たえる、こらえる。
    身のうき草=「浮草」に「憂き」を掛ける。
    流れざり=憂さの消えないことの比喩。

作者・・源俊頼=みなもとのとしより。1055年頃生。
    75歳。左京権太夫。従四位。

出典・・金葉和歌集・609。 


老いぬれば さらぬ別れの ありといへば いよいよ見まく
ほしき君かな       
                    伊登内親王
              
(おいぬれば さらぬわかれの ありといえば いよいよ
 みまく ほしききみかな)

意味・・私もこの年になったので、永久の別れがいつ
    あるか分かりません。そのせいで、この頃は
    あなたにますます会いたくなりました。

    60歳の母親が36歳の子供に会いたくて詠んだ
    歌です。

 注・・さらぬ別れ=避らぬ別れ。人間として避けら
     れない別れ。死別。
    いよいよ=ますます。

作者・・伊登内親王=いとないしんのう。生没年未詳。
    桓武天皇の皇女。在原業平の母。

出典・・伊勢物語・84、古今和歌集・900。


浮世の月 見過ごしにけり 末二年
                   井原西鶴
                 
(うきよのつき みすごしにけり すえにねん)

前書・・辞世。人間50年の研(きわ)まり、それさへ我には
    あまりたるに、ましてや。

意味・・人生50年といわれているが、私はもう52年も生き
    てきたので、おしまいの2年間だけ浮世の月を余分
    に見過ぎたことになる。

    西鶴の辞世の句です。

 注・・浮世=楽しい世。
    見過ごし=月を余分に見過ごしたの意。つまり長生
     きし過ぎたの意。楽しい世であるからうっかり余
     分に生きたというもの。
    末二年=再晩年の二年間。

作者・・井原西鶴=いはらさいかく。1642~1693。
大阪の
    町人に生まれる。「好色一代男」の作者。一昼夜に
    23500句を吟じたという。

出典・・西鶴置土度(おきみやげ)(小学館「近世俳句俳文集」)    


君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 
思ひけるかな
                 藤原義孝
            
(きみがため おしからざりし いのちさえ ながくも
 がなと おもいけるかな)

意味・・あなたと逢う為には、惜しくも思わなかった命
    までも、逢う事が出来た今となっては、長くあ
    ってほしいなあと思うことです。

    以前は恋の成就のためならば命まで捨てても惜
    しくないと思い、恋に殉じる覚悟もしていたが、
    いざ逢瀬がかなってしまうと、今度は恋のため
    に少しでも長生きがしたいと思うようになり、
    生への執着を生んでいます。

作者・・藤原義孝=ふじわらのよしたか。954~974。
    21歳。右少将・従五位。

出典・・後拾遺和歌集・669、百人一首50。

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