3420

 
白露も 夢もこの世も まぼろしも たとへていはば
ひさしかりけり      
                 和泉式部

(しらつゆも ゆめもこのよも まぼろしも たとえて
 いわば ひさしかりけり)

詞書・・ほんの少し通い始めてすぐに来なくなった男性
    に贈った歌。

意味・・(はかないものの例えの)白露も夢もこの世も
    幻も、恋のはかなさになぞらえていうと、こ
    れだって久しいものですよ。

    どんなはかないものでさえ、あなたの関係と
    のあっけなさに比べると、長続きするものに
    思われますと、男性に嘆き訴えた歌です。

 注・・白露も夢もこの世もまぼろしも=短いものの
     例えを列挙。
    たとへて=例える、なぞらえる。ここでは
     恋のはかなさに例えたもの。

作者・・和泉式部=いずみしきぶ。年没年未詳、977年
    頃の生まれ。朱雀天皇皇女昌子内親王に仕える。

出典・・後拾遺和歌集・832。