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もろともに あはれと思へ 山ざくら 花よりほかに
知る人もなし
      
                  僧正行尊
          

(もろともに あわれとおもえ やまざくら はなより
 ほかに しるひともなし)

意味・・私がお前をしみじみといとしく思うように、
    お前もまた私のことをしみじみといとしく
    思ってくれ、山桜よ。花であるお前以外に
    心を知る人もいないのだから。

    吉野の山に修行のため入山した際、風に折
    れた枝に美しく咲く桜を見て詠んだ歌で、
    努力してもまだ報われない自分の姿にムチ
    を打っています。

 注・・もろともに=いっしょに。
    あはれ=いとしい、寂しい、悲しい。
    知る=単なる知人というより、心の通い
     会う人・共感し合える人の意。

作者・・僧正行尊=そうじょうぎょうそん。1055
    ~1135。平等院大僧正。

出典・・金葉和歌集・521、百人一首・66。