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年ふれば よはひは老いぬ しかはあれど 花をし見れば
物思ひもなし       
                    藤原良房
          

(としふれば よわいはおいぬ しかわあれど はなを
 しみれば ものおもいもなし)

意味・・年月が経(た)ったので、私は年老いてしまった。
    そうではあるが、こうして美しい花を見ている
    と、何の物思いもないことだ。

    私は長い年月を経たのでもう老人になってしま
    ったが、満開の花のようなわが娘さえ見ていれ
    ば、悩みもなく満足である。

    娘の栄達を祝う言外に、よくぞ自分はここまで
    育てて来たものだという、ほっとした気持ちが
    表されています。

 注・・よはひ=年齢。
    しかはあれど=そうではあるが。
    花=立派になった自分の娘を花にたとえて
      いる。
     花をし=「し」は前の語を強調する語。

作者・・藤原良房=ふじわらのよしふさ。804~860。
    太政大臣・従一位。

出典・・古今和歌集・52。