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天飛ぶや 雁の翼の 覆ひ羽の いづく洩りてか
霜の降りけむ
               詠み人知らず

(あまとぶや かりのつばさの おおいばの いずく
 もりてか しものふりけむ)

意味・・大空を飛ぶ雁が羽根を連ねて空を覆うあの翼
    の、どのあたりから洩れて霜が降ったのであ
    ろうか。

    まだ霜が降る時季ではないと思っていたのに
    霜が降っている。空を見上げると雁の群れが
    空を覆うように飛んでいる。雁の羽で空を覆
    おって霜が降らないようにしているはずなの
    に。

    霜の降った驚きと大群の雁の飛ぶ姿に感動し
    て詠まれています。

 注・・天飛ぶや=「雁」の枕詞。
    覆ひ羽=空を覆うように広げた羽。

出典・・万葉集・2238。