村雨の 露もまだ干ぬ 槙の葉に 霧立ちのぼる
秋の夕暮れ
寂蓮法師
秋の夕暮れ
寂蓮法師
(むらさめの つゆもまだひぬ まきのはに きり
たちのぼる あきのゆうぐれ)
意味・・ひとしきり降った村雨が通り過ぎ、その雨
の露もまだ乾かない杉や檜の葉に、早くも
霧が立ちのぼって、白く湧き上がってくる
秋の夕暮れよ。
深山の夕暮れの風景。通り過ぎた村雨の露
がまだ槙の葉に光っている。それを隠すよ
うに夕霧が湧いて来て幽寂になった景観を
詠んでいます。
注・・村雨=にわか雨。
露=雨のしずく。
まだ干ぬ=まだ乾かない。
槙(まき)=杉、檜、槙などの常緑樹の総称。
作者・・寂蓮法師=じゃくれんほうし。1139~1202。
俗名は藤原定長。新古今和歌集の撰者の一人。
従五位上。
出典・・新古今集・491、百人一首・87。
コメント