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山道に 昨夜の雨の 流したる 松の落葉は 
かたよりにけり
               島木赤彦

(やまみちに ゆうべのあめの ながしたる まつの
 おちばは かたよりにけり)

意味・・山道を下りながら、ふと気がつくと松の落葉
    がきれいに一方に掃きよせられたようになっ
    ている。そういえば昨夜はひどく雨が降って
    いたが、これはその時流された跡なのだなあ。

    有馬温泉に行った時に詠んだ歌です。夜来の
    雨で十分に湿りを帯びた土、きれいに片よっ
    ている松葉、まだ誰も通らない山道を踏みし
    めていくさわやかな気分を詠んでいます。

作者・・島木赤彦=しまきあかひこ。1876~1926。
    長野師範学校卒。大正期の代表的歌人。

出典・・岩城之徳篇「現代名歌鑑賞辞典」。