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花の上に しばしうつろふ 夕づく日 入るともなしに
影消えにけり
                             永福門院

(はなのうえに しばしうつろう ゆうずくひ いるとも
 なしに かげきえにけり)


意味・・夕日の光がしばらく花の上に照り映えている
    ように見えたが、いつのまにかその光が消え
    てしまい夕日も沈んでしまった。

    一見なんの変哲もない叙景の歌のようであり
    ながら、その奥に静かな悲しみと寂しさをた
    たえている。夕暮れの景の美しさにひたりき
    っていると、その美しさは時の推移とともに
    はかなく、もろく消えて行く・・・。

 注・・うつろふ=映ろふ。照り映える。

作者・・永福門院=1271~1342。伏見天皇の中宮。
    京極為兼に和歌を学ぶ。

出典・・風雅和歌集・199。