つはものの 手に手に折りて 敷き寝せる 青葉の上に
月照りわたる
                                    森鴎外

(つわものの てにてにおりて しきねせる あおばの
 うえに つきてりわたる)

意味・・兵たちが、手に手に木の小枝を折って、それを
    敷いて寝ている。その青葉の上に月が冴(さ)え
    て照っている。

    鴎外は日露戦争に、軍医として出征している。
    陣中、地べたに青葉のまま小枝を敷いて睡眠を
    とるのである。このゴロ寝する、荒涼とした戦
    場の哀れさを詠んでいます。

作者・・森鴎外=もりおうがい。1862~1922。東大医
    学部卒。医者・小説家。

出典・・詩歌集「歌日記」(武川忠一篇「現代短歌鑑賞
    辞典」)