禊する 今日は川瀬の 白波も 大幣にこそ
立ち渡りけれ
               中務卿のみこの娘

(みそぎする きょうはかわせの しらなみも おお
 ぬさにこそ たちわたりけれ)

詞書・・六月のつごもりに、祓(はらえ)しに川原に出て
    侍りて。

意味・・けがれた身を水で洗い清める今日は、川の川瀬
    の波も、大串につけられた幣として立ち続いて
    いるように見える。

    波の白さを幣に見立てている。

 注・・祓え(はらえ)=半年間の罪・汚(けが)れなどを
     神に祈って除き払うこと。夏越しの祓えともい
     う。
    禊(みそぎ)=身のつみ・けがれをはらうため、水
     で清めること。
    幣(ぬさ)=神へ供え物。木綿・麻・紙などで作る。
    つごもり=陰暦で月の末。みそか。

作者・・中務のみこの娘=物語の登場人物。

出典・・風葉和歌集・208(物語歌撰集です)