とどめおきて 誰をあはれと 思ふらん 子はまさるらん
子はまさりけり
                   和泉式部 

(とどめおきて たれをあわれと おもうらん こは
 まさるらん こはまさりけり)

詞書・・小式部内侍が亡くなって、孫がいるのを見て
    詠みました歌。

意味・・子と母をこの世に残しておいて、死んだ小式
    部はどちらを不憫(ふびん)に思っているだろ
    うか。子の方がまさるであろう。そう、自分
    も親よりも子への愛情が深かったのだよ。

 注・・小式部内侍=こしきぶのないし。?~1025。
     和泉守橘道貞と和泉式部の娘。「百人一首」
     に撰入されるほどの歌才があった。
    とどめおきて=母である自分と、子をこの世
     に残しおいて。
    あはれ=気の毒、不憫(ふびん)。

作者・・和泉式部=生没年未詳。

出典・・後拾遺和歌集・568。

参考です。
小式部内侍の百人一首の歌です。

「大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみもみず
天の橋立」

大江山を越え、生野を通って行く丹後への道のりは
遠いので、まだ天の橋立の地を踏んだこともなく、
また、母からの手紙も見ていません。