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五月雨に 物思ひをれば 時鳥 夜深く鳴きて
いづち行くらむ 
                     紀友則

(さみだれに ものもいおれば ほととぎす よぶかく
 なきて いずちゆくらん)

意味・・五月雨の音を聞きながら、物思いにふけってい
    ると、ほととぎすが夜更けの空を鳴いて飛ぶの
    が聞こえるが、どの方向をさして行くのだろう。

    降りしきる五月雨の中、静かな瞑想を破る時鳥
    の、悲しい鳴き声が聞こえて来る。彼らはどこ
    に飛び去って行くのか、そして自分も彼らの後   
    を追って飛び去ってしまいたい。

    「物思ひ」の具体的なものは分らない。恋の悩
    か、病気なのか対人関係のまずさか、社会的な
    問題か・・、悩みの種はつきないが、いずれに
    しても時が解決してくれる。

 注・・五月雨=陰暦五月に降り続く長雨、梅雨。
    いづち=どちらの方向。「いづく」より方角に
     力点のある語。
    物思ひ=思い悩み、心配事。

作者・・紀友則=きのとものり。生没年未詳。紀貫之は
    従兄弟にあたる。「古今集」の撰者の一人。

出典・・古今和歌集・153。