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吉野山 花の故郷 跡絶えて むなしき枝に
春風ぞ吹く
                   藤原良経

(よしのやま はなのふるさと あとたえて むなしき
 えだに はるかぜぞふく)

意味・・吉野山の桜の花の散ってしまった旧都は、今は、
    訪れる人もなくなって、花のない桜の枝に、花
    を散らした春風ばかりが、訪れて吹いているこ
    とだ。

    吉野山を一面に美しく咲きおおった桜の花が散
    り果て、すでにむなしくなっている旧都の寂し
    さに、花を吹き散らした春風ばかりが訪れてい
    ると、恨みがましい気分を添えています。

 注・・吉野山=奈良県吉野郡吉野町にある山。
    花の故郷=花の散ってしまった旧都。古く離宮
     のあった所の意。
    跡絶えて=訪れる人がなくなって。「跡」は人
     の足跡。
    むなしき枝=花のない桜の枝。

作者・・藤原良経=ふじわらのよしつね。1169~1206。
    37歳。従一位太政大臣。「新古今集仮名序」を
    執筆。

出典・・新古今和歌集・147。