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             全盛の山吹の花

春雨の けならべ降れば 葉がくれに 黄色乏しき
山吹の花
                  正岡子規

(はるさめの けならべふれば はがくれに きいろ
 ともしき やまぶきのはな)

意味・・春雨が毎日毎日降るので、葉の陰に散り残った
    黄色の花も、まことに数少なくなり色も褪せて
    きたものだ、山吹の花は。

    「黄色乏しき」に山吹の盛りの過ぎたのを惜し
    み、また、自分の体力の衰えた状態を重ねてい
    る。

 注・・けならべ=日並べ。日数を重ねる。
    黄色乏しき=「乏しき」は不足、欠けているの
     意。ここでは山吹の黄色の花が大方散って残
     り少ないこと。子規の病状の衰えを暗示して
     いる。

作者・・正岡子規=まさおかしき。1867~1902。35歳。
     東大国文科中退。結核・骨髄カリエスを患う。

出典・・墨汁一滴(谷馨著「現代短歌精講」)