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手のひらに 豆腐をのせて いそいそと いつもの角を
曲がりて帰る
                   山崎方代

(てのひらに とうふをのせて いそいそと いつもの
 かどを まがりてかえる)

意味・・私の楽しみは豆腐を食べることである。豆腐を
    つまみに酒を飲むと何ともいえない幸せを感じ
    る。
    豆腐を入れる器はいらない、とにかく豆腐が手
    に入ればいいのである。
    今日も売り切れずに買う事が出来た。良かった。
    さあ急いで帰ろう。角を曲がれば我が家はすぐ
    そこだ。手のひらにのった豆腐はうまいぞ、酒
    がうまいぞ。

    今のスーパーでビニール入りの豆腐を買うので
    はなく、「お豆腐屋さん」に行って買う時代で
    ある。無職に近い方代は器なんか気にしない。
    買う金が無い時もある。売り切れて買えない時
    もある。豆腐が買えた事が嬉しい。この豆腐で
    美味い酒が飲めるのは楽しみだ。急いで帰ろう。

    豆腐が買えた喜びと、これで美味い酒が飲める
    という楽しみ、この喜び二つを詠んでいます。

    日々の生活に、嬉しい事や喜びを意
識するとい
    う事は、いい事である。    

作者・・山崎方代=やまざきほうだい。1914~1985。甲
    府市・右左口(うばぐち)尋常小学校卒。1941年戦
    傷で右目を失明。靴の修理をしながら各地を放浪。
    毎年9月鎌倉の瑞泉寺で方代忌か催されている。

出典・・尾崎佐永子著「鎌倉百人一首を歩く」。