夕暮れの 心の色を 染めぞおく 果てつる鐘の
声のにほひに
                正徹

(ゆうぐれの こころのいろを そめぞおく はてつる
 かねの こえのにおいに)

意味・・仕事が一段落した夕暮れの、落ち着いた気分に
    なったこういう時を、長く心に留めておこう。
    撞き終わる寺の晩鐘の余韻に浸る事によって。

    どどどん~、どどどん~という太鼓の音を聞け
    ば気持ちを奮い立たせてくれますが、その反面、
    ご~んという梵鐘の音は、静けさをもたらし心
    を落ち着かせてくれます。この鐘の音を聞きな
    がら、今日一日の無事に感謝し、ゆったりし
    気持ちになり、そして明日に備えよう。    

 注・・心の色=心の様子、深く思っている心の状態。
    染めぞおく=深く心に染(し)み入れておく。
    声のにほひに=美しく映える鐘の音に。

作者・・正徹=しょうてつ。1381~1459。東福寺の僧。
     冷泉為尹(れいぜいためまさ)に師事。

出典・・歌集「草根集」(窪田章一郎編「和歌鑑賞辞典」)。