不足なる 事を堪へよ 何時も 恨みん事は
易き世の中
荒木田守武
(ふそくなる ことをたえよ なんどきも うらみむ
ことは やすきよのなか)
意味・・不足に思う事を我慢しなさい。愚痴を言う事は
常に簡単な事である。この世の中は。
この歌に添えられた注釈です。
ある人が言った。「堪忍という字は百貫文の価
値がある」。すると、傍でそれを聞いていた人
が「どうして百貫文だけであろうか。王侯が一
度我慢できなければ天下が騒乱になるし、一家
の主人が我慢できなければ、一家が騒動になる。
忍の一字の価値は、無限であろう」と言ったの
は、実に卓見であった。常に、口に出すことは
簡単であるから、我慢するに越した事はない、
この世の中である。
絵は、縁側で立って何か言っている客風の男性
と、膝をついてそれを聞く目下風の男性の姿が
描かれています。客か主人が店の者に何か文句
を言っているのかと思われます。
注・・恨みむ=愚痴をいう。
百貫文=1000文。25両。
作者・・荒木田守武=あらきだもりたけ。1473~1549。
伊勢神宮神官。
出典・・世中百首絵鈔。
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