親は子を 育ててきたと 言うけれど 勝手に赤い 
畑のトマト
                  俵万智

(おやはこを そだててきたと ゆうけれど かってに
 あかい はたけのたトマト)

意味・・親としては愛情を精一杯注ぎ、期待をかけ、
    子育ての苦悶も乗り越えて育て上げてきた愛
    しい我が子であるが、そんな親の思いを越え
    て、子どもは子どもとしての思いを抱き、個
    性をもち、独立した人格をもつかけがえのな
    い自分として成長し、生きている。

 注・・勝手に赤い畑のトマト=畑のトマト
    は手取り足取り伸び方を教えなくて
    も、自力で伸びて赤くなる。

作者・・俵万智=たわらまち。1962~ 。早稲田大学
    卒。佐々木幸綱と出会い作歌を始めた。

出典・・歌集「サラダ記念日」。