くさまくら まことの華見 してもこよ
                     芭蕉
                     
(くさまくら まことのはなみ してもこよ)

詞書・・路通がみちのくにおもむくに。

意味・・これから奥州への旅に出て旅寝を重ねるとの事だが、
    憂いつらい旅寝をしてこそ本当に花の美しさが分る
    ものだ。旅を遊びと考えないで、真の花の美しさを
    発見して帰っておいで。

 注・・くさまくら=旅の枕詞、旅寝の意味だが、ここでは
     旅寝を重ねる生活、すなわち旅それ自体の意に用
     いている。
    まこと=真実、真理。
    華見(はなみ)=花見、花の美しさを見る。
    路通=1685年に琵琶湖で乞食の生活をしているのを
     芭蕉に見出され、蕉門俳人となった。

作者・・芭蕉=ばしょう。1644~1695。「奥の細道」。
 
出典・・茶のさうし(小学館「松尾芭蕉集」)
 
感想・・先日山歩きをしていると見事に美しく咲いた
    桜の枝を見ました。
    この桜は枝の根元で折れて樹皮だけで付いて
    いました。
    枝折れしていても、折れていないのと全く変
    わらずに花を咲かせているのにすごいなあと
    ため息が出ました。
 
    樹皮だけで付いた枝は辛いだろうが、それを
    表情に出さず、花は凛と咲いて、 自分の生を
    全うしている。
    すごい、花って、なんてすごいんだろう。
    花のすばらしさに気付かされました。
    こういう生き方が出来る花。こういう生き方
    が出来きる花は美しい。
     
   「まことの華見」・・本当の花の美しさとは何
    かを見たような気になりました。
     
    人も苦労し、それに耐え抜いて生きている姿
    にこそ美しさがあると思いました。