世の中は 七たび変へん ぬば玉の 墨絵に描ける
小野の白鷺
                 良寛
               
(よのなかは ななたびかえん ぬばたまの すみえに
 かける おののしらさぎ)

意味・・世の中に対する態度・心の持ち方を七度変えて
    みよう。墨で雪野の白鷺を描く事が出来るよう
    に、不可能に見えたものも、可能になるものだ。

    一例です。
    世の中には嫌いな人はいるものです。
    あっ、また嫌な事を言って来た。だから嫌いだ。
    こんな時、知らぬ振りして逃げたり、文句を言
    い返したりする。
    こんな時に良寛はもっと穏やかになりなさいと
    言っている。
    七回自分の気持ちを整理すると、嫌に思う事も
    そうでは無くなると言っている。
 
    相手の言い分は無理を言っているのだろうか。
    自分が相手の立場なら言わないだうか。
    相手は辛い事を抱え込んでいるのではなかろうか。
    自分は反省をする事はないのだろうか。
    相手に嫌な事をしているのではないだろうか。
    相手の言い分は正しいのではないか。
    相手の欠点ばかり見てはいないか。
    ・・・・・・
     嫌な事があったら、カッカする前に十数えて見よ
    と昔の人は言っている。
 
 注・・ぬば玉の=「墨」の枕詞。
    小野=野原。ここでは白い雪のある野原の意。
    墨絵に描く白鷺=技術の上達によって不可能も
     可能になる事の意。

作者・・良寛=りょうかん。1758~1831。
 
出典・・良寛全歌集・497。