色も香も おなじ昔に さくらめど 年ふる人ぞ 
あらたまりける           
                 紀友則

(いろもかも おなじむかしに さくらめど としふる
 ひとぞ あらたまりける)

意味・・色も香りも昔と同じように咲いているのだろうが、
    年を経てここにやって来た我々の方は、姿がこの
    ように変っている。

    桜の下で年を取ったことを嘆いて詠んだ歌です。

    中国の詩句 「年々歳々花は相似たり、歳々年々
    人は同じからず」と似ています。

 注・・らめ=直接に経験していない現在の事実について
       推量すること。作者は必ずしも毎年見に来
       ているものではない。
    年ふる=年を経る。
    あらたまり=姿が変ること。ここでは老人らしく
     なること。

作者・・紀友則=生没年未詳。904年大内記になる。古今
    集の撰者の一人。紀貫之は従兄弟。

出典・・古今和歌集・57。
 
感想・・この歌には、老いると共に体力が衰え、また惰性
    で生きて来たという思いがあります。
    誰でもこのように思っているのではなかろうか。
 
    一茶は「月花や四十九年のむだ歩き」と詠んでい
    ます。
    月だ花だのと、何の足しにもならない俳諧などを
    弄(もてあそ)んで、四十九年の人生をうかうかと
    過ごしてしまった、という意味です。
 
    紀友則や一茶の歌や句を見て、人生を惰性で生き
    いる、うかうかと過ごしている、という自覚が大
    切だなあと思いました。
 
    うかうかと過ごしていると自覚すればそれなりの
    対処をする。
    一茶の場合、惰性で詠む俳句から納得のゆく俳句
    を心掛けたかも知れません。
 
    うかうかと過ごさないと自覚するとどうなるか。
    体力の衰えを感じたら運動に心掛けたり、不摂生
    をしないように心掛ける。
    今よりもっと面白く過ごしたいと思うなら、本を
    読み始めるのもその一つ。地域の趣味の会に入る
    のもその一つ。
 
    うかうかと過ごしていると自覚して、積極的に生
    きよう、充実した生活をしようと、考えが行けば
    素晴らしいことです。