ありがたし 今日の一日も わが命 めぐみたまへり
天と地と人と
                 佐々木信綱

(ありがたし きょうのひとひも わがいのち めぐみ
たまえり あめとつちとひとと)

意味・・じつに有難い事である。今日の一日も自分の生命
    が無事に過ごす事の出来たのは、天と地と人との
    恩恵によるものである。

    雨が降り水の恵みが与えられ、日が照り光の恵み
    を与えてくれる天の恵み。米や野菜の農作物の恵
    みを与えてくれる地の恵み。食べる物や着る物も
    全部人に頼っている人の恵み。

    生きていく事は自分一人の力によるものでないと
    へりくだって、感謝の気持ちを詠んでいます。

作者・・佐々木信綱=ささきのぶつな。1872~1963。東
    大古典科卒。国文学者・歌人。

出典・・佐々木信綱歌集。
 
感想・・天と地と人の恵みの解説文を読めば、当たり前の
    事であり小学生でも理解出来るものです。
    人が生きて行けるのは、天と地と人の恵みによる
    ものだと言っている。
    何故解りきった事を言うのだろうか。
 
    病人に対して「あなたは健康になりたいですか」
    と質問するのに似ています。誰でもハイと答える。
 
    健康になりたいという欲望はあまりにも当然であ
    るように見えますが、それでは本当に健康になる
    という意欲と意志がありますか、と改めて尋ねら
    れると、直ぐにハイと答えられる人は少ないと思
    います。
 
    健康になりたい人が不摂生な生活を続け、金持ち
    になりたいはずの人が浪費をし、学問や技能を身
    につけたい人が怠けている。
 
    「なんじは健康になりたいのか」「なんじは成功
    したいのか」と改めて自分自身に尋ねてみる、誰
    でもそうなりたいと答える。
    ではその意欲と意志があるのかと尋ねる。これが
    解決の第一歩を踏み出す事になります。
 
    信綱の歌は亡くなる少し前に詠んでいます。子や
    孫に残した辞世の歌です。
    日常生活においても、理想の追求においても、自
    分の意志、意欲を確立することの大切さを訴えて
    いるように感じます。