しかりとて 背かれなくに 事しあれば まづ嘆かれぬ
あな憂の世の中
                   小野篁

(しかりとて そむかれなくに ことしあれば まず
 なげかれぬ あなうよのなか)

意味・・いやな世の中だと言ったって、すぐさま逃げ
    出すわけにはいかないさ。何か事が起きれば
    最初に出るのはいつも嘆息。ああ、いやだ、
    この世の中は。

    「あな憂の世の中」について。

    あらゆる苦しみ、困難に直面して解決に苦労
    する事を四苦八苦という。
    これを「あな憂の世の中」、なんと辛い世の
    中だろうと詠んでいます。

    四苦八苦は、生苦・老苦・病苦・死苦の事で
    あり、八苦は四苦に愛別離苦・怨憎会苦(おん
    ぞうえく)・求不得苦などを加えたものです。
    老・病・死は肉体的苦痛を伴う事が多いが、
    老・病・死を縁とする精神的苦悩が強く感ぜ
    られる事も多い。老・病・死による自分や家
    族の生活不安とか、地位・名誉・権力などの
    喪失を恐れるなどのために苦悩が生じる。
    愛する人々と生別・死別する事の苦痛。嫌い
    で憎い人々と出会い、共に暮らす事は苦悩の
    種となる。求不得苦、思い通りにならない事
    から生ずる苦である。得られない苦。欲求が
    充たされない事から起こる苦悩。
    この様な諸々の苦悩が、「事しあれば」ああ、
    いやだ、この世の中はとため息が出る。

 注・・しかりとて=そうであるからといって。
    背かれなくに=世を背いて出家・遁世出来る
     ものではない。
    事しあれば=何か一大事があればいつでも。
     「し」は強調の助詞。
    あな憂の世の中=この世の中、ああ辛いことよ。
     「あな」は感動詞。

作者・・小野篁=おののたかむら。802~853。従三位・
     左大弁。遣唐使に任ぜられたが拒否した為
     隠岐に流罪になる。漢詩人として有名。
 
出典・・古今集・936。
 
感想・・宝塚歌劇団の教訓として、一枚の紙に書かれた
    ブスの条件25か条が、誰でも見れる所に貼られ
    いるそうです。
 
    次のブス条件の25か条に当てはまる数が多い程、
    「あな憂の世の中」なんと辛い世の中なんだろう
    となります。
 
 1、笑顔がない
 2、お礼を言わない
 3、美味しいと言わない
 4、精気がない
 5、自信がない
 6、愚痴をこぼす
 7、希望や信念がない
 8、いつも周囲が悪いと思っている
 9、自分がブスであることを知らない
10、声が小さくイジケテいる
11、なんでもない事に傷つく
12、他人に嫉妬する
13、目が輝いていない
14、いつも口がへの字の形をしている
15、責任転嫁が上手い
16、他人を羨(うらや)む
17、悲観的に物事を考える
18、問題意識を持っていない
19、他人に尽くさない
20、他人を信じない
21、人生においても仕事においても意欲がない
22、謙虚さがなく傲慢である
23、他人のアドバイスや忠告を受け入れない
24、自分が最も正しいと信じ込んでいる
25、存在自体が周囲を暗くする