いそのかみ 古き都を 来て見れば 昔かざしし 
花咲きにけり
                 詠人知らず
            
(いそのかみ ふるきみやこを きてみれば むかし
 かざしし はなさきにけり)

意味・・石上(いそのかみ)の古い都の跡を来て見ると、
    昔、その都の大宮人達が、髪や冠に挿して飾っ
    た花が、色も変らずに咲いていることだ。

 注・・いそのかみ=石上。奈良県天理市布留町一帯の
     地。「古き」の枕詞。
    古き=「布留」を掛ける。

出典・・新古今和歌集・88。

漢詩、参考です。

平城(なら)を過ぎる   菅三品(かんさんぽん)

緑草(りょくそう)は如今(いま)麋鹿(びろく)の苑(その)
紅花(こうか)は定めて昔の管弦の家

意味・・新緑の青草の丘のほとり、今は鹿の遊ぶ苑と
    なりはてているが、紅の花の咲くあたりは、
    さだめし、あおによし奈良の都のありし日に、
    管弦を奏した家の跡でもあったであろう。

 注・・麋鹿(びろく)=大鹿と小鹿。
 
感想・・この歌や漢詩を読むと寂しさがこみ上げてきます。
    似たような事が身近にありました。
 
    近くの高台に、数年前まで11階建てのアパート
    が4棟、他に4階建てのアパートも数棟建ってい
    ました。ショッピングセンターもあり賑わってい
    ました。
    これらの建物は会社の社宅でしたが、会社の持家
    政策で、皆家を買って出て行きました。その結果
    廃屋のアパートとなったので取り崩されてしまい
    ました。ショッピングセンターも無くなりました。
    その跡地は公園になっています。
    今、この公園に行くと、ここに11階建ての建物
    があったという面影は全くありません。
    元の住人が知るだけです。
    この公園に来てみると、表記の歌や漢詩が思い浮
    かばされます。
    緑草(りょくそう)は如今(いま)麋鹿(びろく)の苑
    紅花(こうか)は定めて昔の管弦の家