秋風に あへず散りぬる もみじ葉の ゆくへさだめぬ 
我ぞ悲しき                 
                  詠み人知らず

(あきかぜに あえずちりぬる もみじばの ゆくえ
さだめぬ われぞかなしき) 

意味・・秋風に耐え切らないで散っていった紅葉の行方が
    知れなくなるように、行く末のわからないわが身
     が悲しいことです。
 
    「わびぬる状態」すなわち、落ちぶれたり不幸にあ
    ったりして、みじめになった状態を詠んでいます。
 

    フランスの詩人、ヴェルレーヌの詩「落葉」、
    参考です。
              上田敏訳詩・清川妙詩訳

    秋の日の     秋風が     
    ギオロンの    バイオリンの音のように
    ためいきの    すすりなき
    身にしみて
    ひたぶるに 
    うら悲し

    鐘の音に     鐘が鳴ると、
    胸ふたぎ     私は思い出に
    色かへて     胸ふさがれる。
    涙ぐむ
    過ぎし日の
    おもひでや

    げにわれは    そのとき    
    うらぶれて    私の心も萎(しお)れて
    ここかしこ    さながら散り落ちる
    さだめなく    落葉のように・・・。 
    とび散らふ
    落葉かな  

 注・・あへず=耐え切れない。
    ギオロン=バイオリン
            げに=実に。現に、まのあたりに。
    うらぶれて=落ちぶれたり不幸にあったりして、
     みじめなありさまになること。悲しみに沈む
     こと。しおれる。
 
出典・・古今和歌集・286。
 
感想・・儚(はかな)い人生。昨日まで幸せに暮らしていた
    のに、辛いことが降りかかって来たら、これから
    どうしたものか。今までのように幸せに生きて行
    きたい、と思う。
 
    ある日、知人が話していた。
    子育てが終わりやっと楽になるかと思っていると、
    義母の介護の生活が始まった。長年介護の生活が
    続き、その後義母は亡くなった。ホットしたとこ
    ろ今度は主人が,脳梗塞で倒れて介護に追われて
    いると。
 
    鐘の音に 胸ふたぎ 色かへて 涙ぐむ
    過ぎし日の おもひでや
    げにわれは うらぶれて ここかしこ
    さだめなく とび散ろう 落ち葉かな