ふるさとの 尾鈴の山の かなしさよ 秋もかすみの
たなびきて居り
                  若山牧水

(ふるさとの おすずのやまの かなしさよ あきも
 かすみの たなびきており)

意味・・少年の頃から親しんだ故郷の尾鈴の山のなん
    と慕(した)わしいことであろうか。秋も昔と
    変らず美しい霞がたなびいている。

 注・・尾鈴の山=宮崎県の日向にある1405mの山。
    かなし=愛し。いとおしい、したわしい。

作者・・若山牧水=わかやまぼくすい。1885~1928。
    宮崎県の生まれ。早稲田大学卒。尾上柴舟に
    師事。

出典・・歌集「みなかみ」(本林勝夫篇「現代名歌鑑賞
    辞典」)
 
感想・・北九州門司は私の育った故郷であり、300m
    ほどの戸の上山という山があった。近くなの
    でよく登ったものです。頂上からは海が見え、
    船をよく眺めていた。汽笛も近くに聞こえて
    来たものでした。
    それは何十年前の昔になるのやら。懐かしく
    思い出されてくる。
 
    牧水も故郷に戻って来て、友と尾鈴の山に登
    った事を思い出しているのだろうか。
    ああ、あんな時もあったのだ、あの時代が懐
    かしい。その山は今も優しく霞がたなびいて
    いる、と。