風雪に身を屈するは快し
                 瀧春一

(ふうせつに みをくっするは こころよし)

意味・・風雪に耐え忍ぶ事は、困難や苦労が重な
    りそれに耐えようと意識する時は、
力が
    湧いて来るものでる。

    寒い時に川で水を浴びるような気持ちで
    す。

 注・・風雪=雪や風。艱難辛苦。苦労、逆境。
    身を屈する=くじける、負けて服従する。
     苦難に会って耐えている姿。
    快し=気持ちがよい、楽しい。

作者・・瀧春一=たきはるいち。1901~1996。水原
     秋桜子に師事。

出典・・句集「瓦礫」(松林尚志著「瀧春一鑑賞」)

感想・・「風雪」という言葉は、風や雪というより、
    「風雪に耐えて生きる」というように、艱
    難辛苦の歳月を指す事が多い。風雪が何故
    艱難辛苦を表す言葉になったのか。吹雪の
    中にいて風雪に耐える事は正に艱難辛苦で
    あるからである。
    「身を屈する」は、すなわち苦難の試練を
    受けて耐える姿を言っている。
    寒さが厳しかったり、雪に真向わねばなら
    ない時、むしろ身体の芯が熱くなって来て
    力が湧き上がってくるような昂ぶりを覚え
    る事がある。だらけた状態にあるよりも、
    むしろ身体が引き締まって生きる勇気が湧
    いて来るものである。
    経済的な事や私生活の事での苦悩、他人か
    らの悪評、このような逆境、これらから逃
    げるのではなく、耐えようと意識する時、
    身の芯から力が湧き生き甲斐を感じるもの
    です。