眺めつつ 昔も月は 見しものを かくやは袖の
ひまなかるべき         
                相模

(ながめつつ むかしもつきは みしものを かくやは
 そでの ひまなかるべき)

意味・・物思いにふけり昔も月は見たのだが、こんなに
    袖の涙が乾く暇もない事があっただろうか、
    なかったものだ。

    物思いに沈む、恋の悩み・病気・子供の事で悩
    む・交通事故・・。

 注・・眺め=物思いに沈む事。
    かくやは=「かく」はこのように。「やは」は
     反語の意を表す、・・だろうかいや・・では
     ない。
    ひまなかるべき=涙で濡れずにいる隙(時間)が
     無かっただろうか、いやあった。今は濡れて
     ばかり。

作者・・相模=十一世紀半ばの人。相模守・大江公資
    の妻。 夫が相模守なので相模と称した。

出典・・千載和歌集・985。

感想・・いつも平々凡々に生活していると、何か良い事が
    ないかなあ、何か面白い事がないかなあと思う。
    些細な事にも反応して悩む事もある。何かときめ
    く事があれば悩み事も無くってしまうのにと思っ
    たりする。
    
    最近、知人が交通事故を起こし車が破損して乗れ
    ない状態になったという。
    その結果趣味のサークルの会合に参加出来なくな
    った。
    また、事故の解決のために多くの交渉事もしなけ
    ればならず、いやな思いの日が続いているという。

    この知人の今の心境は「眺めつつ昔も月は見しも
    のをかくやは袖の ひまなかるべき」だと思う。
    心が晴れない状態で月を見ても辛いことばかり。

    以前はサークル活動に参加していたが、前と同じ
    ように参加出来さえすれば最高の幸せだと思うの
    だが、という心境になっていると思う。平々凡々
    でも良い、事故前の昔に戻りたい!