朝霧に 濡れにし衣 干さずして 独りや君が
山路越ゆらん          
                詠人しらず

(あさぎりに ぬれにしころも ほさずして ひとりや
 きみが やまじこゆらん)

意味・・朝霧に濡れてしまった衣を干さないままで、
    今頃一人、あなたは山路を越えておられる
    のでしょうか。

    朝霧に衣が濡れたまま、一人、山路を行く
    人のわびしい姿、目的地に急ぐ姿が目に浮
    かびます。

出典・・新古今和歌集・902。

感想・・どうぞご無事で...と、祈るような詠み人の
    想いは、 一人目的地に急ぐ人の心の支えに
    なっている...

    この歌は、伊勢物語のひたすら夫の旅が無
    事であるように祈る歌が思い出されます。 
    
   「風吹けば沖つ白波たった山 夜はにや君が
    ひとり越ゆらむ」
    あの寂しい立田山を、あの方はこの夜更け
    にたった一人で越えていることでしょうか。

    この歌は結婚して数年後、生活が厳しくな
    ったので、夫が隣の町に行商に行く時の状
    態を思って歌っています。
    ところが夫は愛人が出来て隣の町まで通っ
    ていたのです。
    夫は妻がこのように歌を詠み美しく化粧を
    して待っている事を知ります。そして夫は
    愛人の所に通わなくなったという物語です。

    結婚すると相手の良い面と悪い面が見えて
    きます。
    良い面は当然という気持ちがあり、悪い面
    が目立つと嫌気がさして来ます
    ふらふらと浮気をしたくなる。

    相手の悪い所はいくらでも見付け出す事が
    出来ます。相手の良い面は、当然という思
    いがあるので、見つけ出せない。
    悪い面は勘違いであったり、感情的になっ
    ている時に思う事が多い。
    人はいい所もあるが悪い所もある。それが
    当たり前なんだと認識していなければなら
    ない。
    そして、相手の良い面は当然と思わず、良
    い面だと再認識することの大切さを思いま
    す。