咲く花は 移ろふ時あり あしひきの 山菅の根し
長くはありけり
                  大伴家持

(さくはなは うつろうときあり あしひきの やま
 すがのねし ながくはありけり)

意味・・はなやかに咲く花はいつか色褪(あ)せて散っ
    てしまう時がある。目に見えない山菅の根こ
    そは、ずっと変らず長く長く続いているもの
    である。

    この歌は757年に詠まれており、藤原家との
    対立が激しくなっていた。その年は右腕の橘
    諸兄(もろえ)が死に、その前年に家持が頼り
    とする聖武天皇が亡くなっている。諸兄の子
    橘奈良麻呂は藤原仲麻呂に謀反を起こしたが
    失敗し、家持の知友の多くが捕らえられ処刑、
    配流される事件があった。貴族暗闘の時局を、
    これらの人々を心にしながら詠んだ歌です。

    栄耀栄華は一睡の夢、それに引き換えて山菅
    の根のような、細く長く着実に生きるあり方
    は目立たないが長く続くものだと詠んでいる。

 注・・咲く花は=知友達の悲運の哀傷や仲麻呂の栄
     達の憤懣(ふんまん)の気持がこもる。
    あしひきの=「あしびきの」とも。山の枕詞。
    山菅の根し・・=細く長く着実に生きていく
     ことへの意志がこもる。

作者・・大伴家持=おおとものやかもち。718~785。
    大伴旅人の長男。少納言。万葉集の編纂をした。

出典・・万葉集・4484。

感想・・今の自分はどんな状態なのか。
    花が咲いているのか、蕾なのか、それとも萎ん
    でいる花の状態なのか。
    多くの人は今の自分を花が咲いた状態とは思わ
    ないだろう。もっと良く成りたいと思っている
    から。
    古希を過ぎた私は振り返ると、10年前15年前が
    花が咲いていた状態と思う。当時はそうは思って
    いなかった。これからだと思っていた。
    現在は全盛が過ぎたのでもちろん花が咲いた状態
    とは思っていない。
    でも今は健康であり歩きまわったり出来る。自由
    に趣味が楽しめる。
    あと何年後にか今を振り返って見れば、今を花が
    咲いた状態と思うかも知れない。
    その時になったつもりで、今を花が咲いている状
    態だと思って生きていきたい。
    花を散らさないように、毎日水をやり雑草を取っ
    ていきたい。
    睡眠に食事に運動に趣味に楽しんで生きていきた
    いと思っている。