高砂の 尾の上の鐘の 声聞けば 今日のひと日も 
過ぎにけるかも            
                良寛

(たかさごの おのえのかねの こえきけば きょうの
 ひとひも すぎにけるかな)

意味・・山の頂から聞こえて来る鐘の音を聞いていると、
    今日の一日も何事もなく過ぎてしまったことだ。

    今日の一日が安らかに過ぎ去った喜びを歌って
    います。

 注・・高砂=「尾の上」の枕詞。
    尾の上=山の頂。

作者・・良寛=1758~1831。

出典・・谷川敏郎著「良寛全歌集」。

感想・・一日の終りになって、安らかな気持ちになって
    いる事はいいことです。
    良い事があったり、力一杯働いた後は安らかな
    気持ちになれる。
    一方気掛かりな事があり、まだあれをし終えて
    いない、これもしなくちゃと心残りがあると気
    が休まらない。
    人とのいざこざがあれば嫌な気分が残り、さわ
    やかな気持ちにはなれない。
    悩みがあればもちろん安らいだ気分にはなれな
    い。
    入相の鐘を聞きながら今日も無事に終えた、と
    ホットする思いは幸せなんだと思う。