ゆほびかに たけはた高し よきをうなの なやめるところ
なしとぞいはまし
橘曙覧
(ゆおびかに たけはたたかし よきおうなの なやめる
なしとぞいはまし
橘曙覧
(ゆおびかに たけはたたかし よきおうなの なやめる
ところ なしとぞいわまし)
意味・・小野小町という人の人柄は奥ゆかしく、品位や風格
が高く高貴な立派な方です。そのような素晴しい方
が悩めるところがある、と「古今集の序」で言って
いるが悩むところがないと言ったらよかっただろう
に。
歌の題は「小野小町」となっています。
小野小町は古今集の仮名序に「いはば、よき女の悩
めるところあるに似たり」と評されています。
人間の欲望にはきりがないが、欲望があれば不満が
ついてまわり、それが悩みに通じます。
小野小町のような高貴な方は、なにもかにも満足し
欲望も不満も悩みもないで欲しい、という事を詠
んでいます。
森鴎外の「高瀬舟」の一節、参考です。
「人は身に病があると、この病がなかったらと思ふ。
其日其日の食がないと、食っていかれたらと思ふ。
万一の時に備へる蓄えがないと、少しでも蓄えが
あったらと思ふ。蓄えがあっても、又其の蓄えが
もっと多かったらと思ふ。かくの如くに先から先
に考えて見れば、人はどこまで往って踏み止まる
ことが出来るやら分からない。それを今目の前で
踏み止って見せてくれるのがこの(罪人の)喜助だ
と、(同心の)庄兵衛は気がついた」
注・・小野小町=平安前期(西暦850年)の女流歌人、
六歌仙の一人。絶世の美人といわれた。
ゆほびか=ゆったりして奥ゆかしいこと。
たけ=格調。風格。
はた=同趣の意を表わす。やはり。それもまた。
をうな=女。
なやむ=精神的に苦しむ。病気で苦しむ。
作者・・橘曙覧=たちばなあけみ。1812~1868。早く父母
に死別。義弟に家業を譲り隠棲した。福井藩主に
厚遇された。
出典・・岩波文庫「橘曙覧全歌集・1038」。
意味・・小野小町という人の人柄は奥ゆかしく、品位や風格
が高く高貴な立派な方です。そのような素晴しい方
が悩めるところがある、と「古今集の序」で言って
いるが悩むところがないと言ったらよかっただろう
に。
歌の題は「小野小町」となっています。
小野小町は古今集の仮名序に「いはば、よき女の悩
めるところあるに似たり」と評されています。
人間の欲望にはきりがないが、欲望があれば不満が
ついてまわり、それが悩みに通じます。
小野小町のような高貴な方は、なにもかにも満足し
欲望も不満も悩みもないで欲しい、という事を詠
んでいます。
森鴎外の「高瀬舟」の一節、参考です。
「人は身に病があると、この病がなかったらと思ふ。
其日其日の食がないと、食っていかれたらと思ふ。
万一の時に備へる蓄えがないと、少しでも蓄えが
あったらと思ふ。蓄えがあっても、又其の蓄えが
もっと多かったらと思ふ。かくの如くに先から先
に考えて見れば、人はどこまで往って踏み止まる
ことが出来るやら分からない。それを今目の前で
踏み止って見せてくれるのがこの(罪人の)喜助だ
と、(同心の)庄兵衛は気がついた」
注・・小野小町=平安前期(西暦850年)の女流歌人、
六歌仙の一人。絶世の美人といわれた。
ゆほびか=ゆったりして奥ゆかしいこと。
たけ=格調。風格。
はた=同趣の意を表わす。やはり。それもまた。
をうな=女。
なやむ=精神的に苦しむ。病気で苦しむ。
作者・・橘曙覧=たちばなあけみ。1812~1868。早く父母
に死別。義弟に家業を譲り隠棲した。福井藩主に
厚遇された。
出典・・岩波文庫「橘曙覧全歌集・1038」。