名歌鑑賞のブログ

心に残る名言、名歌・名句鑑賞

2018年09月


いつの間に 空のけしきの 変るらん はげしき今朝の
木枯しの風       
                  津守国基

(いつのまに そらのけしきの かわるらん はげしき
 けさの こがらしのかぜ)

意味・・いつの間に空の様子が変わったのであろうか。
    目覚めると、昨日とはうって変って激しく吹い
    ている、今朝の木枯しの風よ。

    季節感の変化に新鮮な驚きを感じて詠んだ歌で
    す。

 注・・木枯らし=初冬にかけて吹く、荒く冷たい風。

作者・・津守国基=つもりのくにもと。1102年没。80
    歳。従五位下、住吉神社の神主。
 
出典・・新古今和歌集・569。

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心あてに 折らばや 折らむ 初霜の 置きまどはせる
白菊の花
                  凡河内躬恒 
            
(こころあてに おらばやおらん はつしもの おき
 まどわせる しらぎくのはな)

意味・・もし折るのなら、あて推量で折ることにしょうか。
    初霜が置いて、その白さの為に区別もつかず、紛ら
    わしくしている白菊の花を。

    冬の訪れを告げ、身を引き締めるようにさせる初霜
    の厳しさと、白菊の花のすがすがしい清楚な気品が
    詠まれています。

 注・・心あてに=あて推量で。
    置きまどはせる=置いて、分からなくしている。

作者・・凡河内躬恒=おおしこうちのみつね。生没年未詳。
    895年頃活躍した人。三十六歌仙の一人。古今集
    の撰者の一人。
 
出典・・古今集・277、百人一首・29。


み山木を 朝な夕なに 樵りつめて 寒さを乞ふる
小野の炭焼き
                  曾禰好忠
             
(みやまぎを あさなゆうなに こりつめて さむさを
 こうる おののすみやき)

意味・・山の木を、朝夕、切り集めて、炭が売れる事を
    願って、寒さを乞う、小野の炭焼きである。

    人の嫌がる寒さを願う炭焼きの姿に、厳しい生
    活が見えます。

 注・・み山木=山の木。「み」は美称。
    朝な夕な=朝に夕に、明け暮れ。
    樵りつめて=木を切り集める。「つむ」は集め
     る。
    寒さを乞ふる=寒いと炭が売れるから、寒さを
     願う。
    小野=京都市左京区上高野から大原にかけての
     原野。

作者・・曾禰好忠=そねのよしただ。923~1003。三十
    六歌仙のひとり。

出典・・拾遺和歌集・1144。


花の上に 結びし露は 夢なれや 萩の古葉を 
うづむ朝霜
                散逸物語
            
(はなのうえに むすびしつゆは ゆめなれや はぎの
 ふるはを うずむあさしも)

意味・・花の上に結んでいた露は夢だったのだろうか。
    今は萩の古い葉を朝霜がびっしり埋めている。

    参考歌です。
    「津の国の難波の春は夢なれや 芦の枯葉に
    風渡るなり」 (意味は下記参照)

 注・・散逸物語=散逸して現在は無くなった物語。

出典・・風葉和歌集・387。

参考歌です。

津の国の 難波の春は 夢なれや 葦の枯葉に
風渡るなり        
                西行
             
(つのくにの なにわのはるは ゆめなれや あしの
 かれはに かぜわたるなり)

意味・・津の国の難波のあの美しい春景色は
    夢だったのであろうか。今はただ、
    葦の枯葉に風が渡ってゆくばかりで
    ある。

作者・・西行=1118~1190。新古今集には
     一番入選歌が多い。

出典・・新古今和歌集・625。

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システムに ローンに飼われ この上は 明ルク生クル
ほか何がある
                   島田修三

(システムに ローンにかわれ このうえは あかるく
 いくるほかなにがある)

意味・・毎日真面目に出勤せねばならない。そして社会
    のさまざまな規範やしがらみに縛られて生きて
    いる。こういうシステムの上に家のローンもあ
    る。家庭では良き夫、良きお父さんであること
    も要求される。飼い犬や飼い猫よりも不自由な
    毎日であるが、明るく生きる他ないと心を奮い
    立たせているのである。

    腑に落ちないことや腹の立つことが多い中、明
    るく明るく生きたいと。

 注・・システム=組織、世の体系。
 
作者・・島田修三=しまだしゅうぞう。1950~ 。横浜
    市立大学卒。愛知淑徳大学学長。

出典・・歌集「晴朗悲歌集」(栗本京子著「短歌を楽しむ」)

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