名歌鑑賞のブログ

心に残る名言、名歌・名句鑑賞

2018年05月


とどめおきて 誰をあはれと 思ふらん 子はまさるらん
子はまさりけり
                   和泉式部 

(とどめおきて たれをあわれと おもうらん こは
 まさるらん こはまさりけり)

詞書・・小式部内侍が亡くなって、孫がいるのを見て
    詠みました歌。

意味・・子と母をこの世に残しておいて、死んだ小式
    部はどちらを不憫(ふびん)に思っているだろ
    うか。子の方がまさるであろう。そう、自分
    も親よりも子への愛情が深かったのだよ。

 注・・小式部内侍=こしきぶのないし。?~1025。
     和泉守橘道貞と和泉式部の娘。「百人一首」
     に撰入されるほどの歌才があった。
    とどめおきて=母である自分と、子をこの世
     に残しおいて。
    あはれ=気の毒、不憫(ふびん)。

作者・・和泉式部=生没年未詳。

出典・・後拾遺和歌集・568。

参考です。
小式部内侍の百人一首の歌です。

「大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみもみず
天の橋立」

大江山を越え、生野を通って行く丹後への道のりは
遠いので、まだ天の橋立の地を踏んだこともなく、
また、母からの手紙も見ていません。


今日限り 今日を限りの 命ぞと 思いて今日の
勤めをばせよ

(きょうかぎり きょうかきりの いのちぞと おもいて
 きょうの つとめをばせよ)

意味・・明日をも知れない人間の命。今日限りの命と思っ
    て、後悔することがないよう今日という日の勤め
    を励むことだ。

    今日やるべきことは今日やっておく。簡単なよう
    でも難しい。しかし、後送りにしていては、どん
    どん後に送られていくばかりだ。今日一日の積み
    重ね、これが自分の人生をつくる。充実した人生、
    それは日々精一杯よく生きることしかないのでは
    なかろうか。

出典・・斉藤亜香里著「道歌で知る美しい生き方」。

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                               葛飾北斎画

見渡せば 果てしも知れぬ 荒海も 渡らば渡る
道はありけり

(みわたせば はてしもしれぬ あらうみも わたらば
 わたる みちはありけり)

意味・・見渡してみると果てしなく続く荒れた海でも、
    渡ろうとすれば案外渡る道が見つかるものだ。
    人生も同じことである。

    絶体絶命のピンチ、誰でもそんな時はあるもの。
    周囲を見渡しても誰も助けてくれる人はいない。
    八方塞がりの極限に立たされることがある。そ
    んな苦しい状況の中で、頭を抱えて考えて見る。
    必死に悩み考え抜いた時、ふっと脱出の糸口が
    どこからか必ず見つかるものである。必ず方策
    はあるものである。暗闇で見つけた一筋の光。
    そのトンネルを抜ければ一段の飛躍が待ってい
    るはずだ。

出典・・斉藤亜香里著「道歌から知る美しい生き方」。


踏まれても 根強く忍べ 道芝の やがて花咲く
春に逢うべし

(ふまれても ねづよくしのべ みちしばの やがて
 はなさく はるにあうべし)
 
意味・・人に踏みつけられても、辛抱強くただ耐えな
    さい。道端の芝だって踏まれても我慢強くし
    ていれば、いずれ美しい花が咲く春がくるの
    だから。

    困難に直面したときは、心がなえてしままう
    ことがある。やってきたことに自信をなくし
    てしまうこともある。しかし、何かをしよう
    とする時に、困難は必ずつきまとう。困難が
    なければ、すべての希望は手に入らない。苦
    労の上に花が開くのである。夜がなければ、
    朝は来ない。冬がなければ、春は来ない。

出典・・斉藤亜香里著「道歌から知る美しい生き方」。
 

   

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やがて死ぬけしきも見えず蝉の声
                   芭蕉 

(やがてしぬ けしきもみえず せみのこえ)

意味・・蝉はもうすぐ秋になればはかなく死ぬに決まって
    いるのに、今は少しもその様子がなくやかましい
    ばかりに鳴きたてていることだ

    蝉の寿命は一週間といわれる。しかし、そんなそぶ
    りも見せず、蝉は与えられた夏の一瞬の生を天地
    いっぱいに、鳴いている。

    たとえ短い命でも「今、ここ」を精一杯生きる生
    の充実感を詠んでいます。


作者・・芭蕉=まつおばしょう。1644~1694。

出典・・幻住庵記。

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