大き波 たふれんとして かたむける 躊躇の間も
ひた寄りによる
ひた寄りによる
木下利玄
(おおきなみ たおれんとして かたむける ためらい
のまも ひたよりによる)
意味・・大きな波が、まさに倒れようとして傾いている。
そのためらいにも似たわずかなの時間にも、波
はひたすらに寄せて来る。
大波はそのまま停まっているわけではなく、波
が倒れようとする一瞬、引力よりももっと強い
沖から寄せる波の力に押されて寄せて来ている
状態を詠んでいます。
これは葛飾北斎の冨獄三十六景の波の画と同じ
ですが、北斎の画には高波に小舟が呑まれそう
な一瞬、舟客が無事を祈る姿が描かれています。
利玄の大波はいつ襲ってくるか分からない災難
を暗示しています。
注・・躊躇(ためらい)=迷って心が決まらないこと。
作者・・木下利玄=きのしたりげん。1886~1925。
(おおきなみ たおれんとして かたむける ためらい
のまも ひたよりによる)
意味・・大きな波が、まさに倒れようとして傾いている。
そのためらいにも似たわずかなの時間にも、波
はひたすらに寄せて来る。
大波はそのまま停まっているわけではなく、波
が倒れようとする一瞬、引力よりももっと強い
沖から寄せる波の力に押されて寄せて来ている
状態を詠んでいます。
これは葛飾北斎の冨獄三十六景の波の画と同じ
ですが、北斎の画には高波に小舟が呑まれそう
な一瞬、舟客が無事を祈る姿が描かれています。
利玄の大波はいつ襲ってくるか分からない災難
を暗示しています。
注・・躊躇(ためらい)=迷って心が決まらないこと。
作者・・木下利玄=きのしたりげん。1886~1925。
東大国文学科卒。志賀直哉・武者小路実篤らと
「白樺」を創刊。
出典・・笠間書院「和歌の解釈と鑑賞辞典」。
感想・・この歌は葛飾北斎の富獄三十六景の大波の画を
思い出されます。
旅人の乗った舟が大波に飲み込まれそう。大波
は高く立ち上がり今にも倒れて舟を沈めるので
はないか思わせる画です。旅人は無事を祈って
頭を船底に付けています。
遠方には富士山が見えるので、江戸から大阪へ
行く舟旅の途中の出来事かも知れません。
舟出する時の海は波静かであったと思われます。
海が時化(しけ)るとは思いも及ばなかったこと
でしょう。
現実でも、順風満帆であってもいつ時化が来る
か分らない。
ある日突然病気に襲われるかも知れない。脳梗
塞や癌を患うかも知れない。
難病を患うかも知れないと思っていてもどうす
る事も出来ないのだが、患った時の覚悟を決め
いれば失望の度合いも違って来る。
病気になった時の痛みや苦しみを思うと、人間
関係のまずさによる辛さも我慢出来るかも知れ
ない。