うかうかと 浮き世を渡る 身にしあれば よしやいふとも
人は浮きよめ
良寛
人は浮きよめ
良寛
(うかうかと うきよをわたる みにしあれば よしや
いうとも ひとはうきよめ)
意味・・大事な事をするわけでなくぼんやりとこの
世を過ごす同じ身であってみれば、たとえ
良くないと人が批判する遊女であっても、
同じ世を過ごす人間なのだよ。
良寛が遊女とおはじきをしたり、手毬を
ついて遊んでいるといううわさに、弟が
それとなく批判したので答えた歌です。
注・・うかうか=心のおちつかない様子。注意の
たりない様子。ぼんやり過ごす。
よしや=ままよ、たとえ。不満足ではあるが
仕方がないと許容する意味。
浮きよめ=浮き世女。渡世人。
作者・・良寛=1758~1831。
感想・・「うかうか」について考えました。
「うかうか三十きょろきょろ四十」という言葉
があります。
大した事もせずにうかうかしていると、すぐに
三十代になる。何をやろうかときよろきよろし
ていると、もう四十代。
これといった仕事もせずに一生を過ごししてし
まうという譬えです。
しっかりした目的をもたず、ぼんやり過ごして
しまってはいけない、という戒めです。
計画表に予定を書き留めてそれを実行している
人は多い。そのような人は充実した生活を送っ
ている人だと言えよう。
予定にはしっかりとした目的が入っていると、
「充実している」と実感出来るだろう。
でも、何年かしてこのような生活を振り返って
見るとうかうかと過ごして来たと思うかも知れ
ない。
毎日の日々には満足してるのに・・。
昔と比べて何らかの進歩があれば、うかうかと
過ごしたと思わないだろう。
自分の力を出し切っていれば、うかうかと過ご
したと思わないだろう。
人の役に立つ事をして来たという自覚があれば
うかうかと過ごして来たと思わないだろう。
私はうかうかして古希が過ぎてしまった。
これからは人の役に立つというより、人に迷惑
をかけないために持てる力を出して行きたいと
思っています。