1、 梅若菜まりこの宿のとろろ汁       芭蕉

2、 梅さいてまりこへ売れるつくね芋     佃

  (うめわかな まりこのしゅくの とろろじる)
  (うめさいて まりこへうれる つくねいも)

1、 意味・・我々の目の前には梅が咲き、若菜も萌えて
        いる。道中でも、早春のそんな光景が目を
        楽しませてくれるであろう。そして駿河の
        鞠子(まりこ)の宿では、名物のとろろ汁に
        もありつくことが出来るであろう。無事の
        旅を祈っている。

       乙州(おとくに)が江戸に出立する餞別とし
       て詠んだ句です。

2、 意味・・梅の咲く頃になると人々は芭蕉の「梅若菜
       まりこの宿のとろろ汁」の句を思い出して
       道中、鞠子の宿では、必ずとろろ汁を食べ
       るであろうから、さぞかし、とろろ汁の材
       料である「つくね芋」がよく売れるであろ
                   う。

       芭蕉の句を茶化しています。

    注・・まりこの宿=鞠子の宿。東海道の宿駅(静岡
        市丸子)。とろろ汁が名物。
       つくね芋=やま芋の一種。塊茎(かいはい)は
        手のひら状をしている。
 
作者・・芭蕉=ばしょう。松尾芭蕉。1644~1694。
    佃=つくだ。伝未詳。江戸時代の川柳作家。

出典・・複本一郎著「俳句と川柳の楽しみ方」。